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2024.05.15

(2型糖尿病の新たな治療薬・マンジャロ自己注射薬)

  •  「マンジャロ」という新たな2型糖尿病治療があります。日本で処方できるようになり、1年が経過しました。
  •  自己注射薬ですがインスリン注射ではありません。持続性GIP/GLP-1受容体作動薬というお薬で、週1回の注射になります。薬と針がすでにセットされた専用のペンになっており、患者さんはキャップを外してペンを皮膚にあてボタンを押すだけで簡単に注射ができます。2.5mgから使用を開始し4週間後に5mgに増量します。もし治療効果が不十分であればその後に7.5mg、10mg、12.5mg、15mgまでそれぞれ4週間以上あけて増量することもできます。
  • (GLP-1って?GIPって?)
  •  GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、腸管ホルモンの一種で、膵臓のインスリン分泌を刺激することで血糖値を調節する役割を持っています。GLP-1は食事を摂取すると腸壁から放出され、血液中を循環しながら脳や膵臓、胃腸などの様々な臓器に作用します。
    GLP-1は食事の後にインスリンの分泌を増加させ、血糖値の上昇を抑制します。また、GLP-1には食欲を抑制して食事の量を減らす効果や、心臓病のリスク低減にも関与するとされています。
  •  GIP(グルコース依存性インスリン促進物質)は、GLP-1と同様の腸管ホルモンの一種で、食事を摂取すると腸壁から放出され、膵臓のインスリン分泌を促進することで血糖値を調節します。GIPはインスリンの分泌だけでなく、グルカゴン分泌を促進する働きがあります。グルカゴンは血糖を上昇されるホルモンですが、血糖値と連動してインスリン分泌を促す作用があります。また肝臓や脂肪細胞での脂肪分解を促進するほか、食欲を抑制する作用を持ちます。グルカゴンは抗肥満ホルモンと考えられています。
  • そんな血糖や食欲を調整するGLP-1とGIPの働きを併せ持つのが、新薬マンジャロ(チルゼパチド)になります。
  • (どのような方に適していますか?)
  •  HbA1cの低下作用が大きく、体重も大きく減少することから、まずは比較的若めでHbA1cが高く、肥満傾向の方がいいかなと考えます。今後高齢者や痩せている方を対象にした安全性、心臓や腎臓にもよい影響(臓器保護効果)があるのかなど色々なデータや専門医の先生の知見が出てくると思われ、結果によってはさらに多くの方にすすめられる注射薬になる可能性も高いです。
  • ※海外や日本での保険外医療機関でダイエット治療として処方されている場合がありますが、現在、日本では2型糖尿病に対しての保険診療のみでの対応です。
  • (マンジャロの副作用)
  •  比較的出やすい副作用としては吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸障害があります。多くの場合は初期に認められるものの徐々に軽快します。医師と相談してマンジャロの使用量を減らす、あるいは中止する等の対応が必要になる場合があります。