甲状腺の病気

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甲状腺とは

甲状腺とは甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にあり、気管を取り巻くように存在している小さな臓器です。成長や新陳代謝を促すホルモンを分泌しているため、分泌の異常を起こすと身体にさまざまな症状を起こします。通常は甲状腺のあるあたりを触れても存在がわかりませんが、甲状腺の病気になると触れた際に腫れを感じることがあります。

甲状腺のホルモンの働き

甲状腺ホルモンは、身体の組織の正常な発達と成長、代謝、循環、生殖をコントロールする役割を担っています。心拍数、心臓から送り出される血液量のコントロール、脂肪の合成や分解の促進、熱産生促進、腸の運動の刺激、骨代謝の促進など、幅広い機能に関わっています。

甲状腺の病気の症状

甲状腺のホルモンが過剰な場合に起こる主な症状

  • 体重減少
  • 動悸
  • 脈が速い
  • 息切れ
  • 高血圧
  • 汗をよくかくようになった
  • 暑がりになった
  • 微熱
  • かゆみ
  • 食欲亢進
  • 口が渇く
  • 軟便や下痢しやすい
  • 神経過敏
  • イライラ
  • 不安感が強い
  • 落ち着かない
  • 睡眠障害
  • 疲れやすい
  • 手や指の震え
  • 脱毛
  • 目が出てきた
  • 首の腫れ
  • 月経異常
  • 不妊

など

甲状腺のホルモンが少なすぎるとき

  • 疲れやすい
  • 意欲がなくなった
  • 太りやすくなった
  • 記憶力の低下
  • 脈が遅い
  • 汗が出にくい
  • 皮膚の乾燥
  • 筋力低下
  • 声のかすれ
  • 寒がりになった
  • 手足が冷える
  • 便秘になりやすい
  • 睡眠時間が十分でも日中に眠気を感じる
  • 体温が低い
  • 脱毛
  • 眉毛の脱落
  • むくみ
  • 首の腫れ
  • 月経異常
  • 不妊

など

甲状腺の腫瘍

甲状腺腫瘍の自覚症状はほとんどありません。4cmを超える大きなものでは、頸部腫脹、のどがつまるような感じ、嚥下時の違和感がでてくることもあります。悪性腫瘍であっても同様で、自覚症状はほとんどありませんが、進行してくると、声枯れ、嚥下障害が出現します。

甲状腺の主な病気

主な病気には、バセドウ病、橋本病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、甲状腺腫瘍などがあります。

バセドウ病

バセドウ病バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌される甲状腺機能亢進による中毒症状を起こします。男性を1とした場合、女性の発症は7~10とされ、女性に多い疾患です。女性の発症頻度は50~200人に1人程度と、かなりよくある病気だと言えます。

原因

自己免疫が甲状腺を異物と見なして、免疫系が甲状腺だけに作用する抗TSH受容体抗体(TRAb)を過剰に作り、甲状腺膜上にある受容体が持続的に刺激されて甲状腺が全体的に腫大し、過剰に甲状腺ホルモンが分泌されて発症します。遺伝的素因と環境因子が関与して発症するとされていて、その比率は遺伝的な素因約80%、喫煙、女性ホルモン、妊娠、感染、ヨウ素などの環境因子が約20%と考えられています。

症状

甲状腺の腫れ、動悸、目が出てくる、手や指の震えなどが特徴的な症状です。他に甲状腺のホルモン分泌が亢進して起こるさまざまな症状を起こします。

診断

特徴的な症状、血液検査や超音波検査などで診断できます。血液検査では、甲状腺ホルモンの分泌量や抗TSH受容体抗体(TRAb)などを調べます。また、X線検査、心電図などで心臓の状態や機能、気管や肺の状態を確認します。必要があると判断された場合には、連携している高度医療機関をご紹介してシンチグラフィ―(核医学検査)を受けていただきます。

治療

バセドウ病の治療は、内服による薬物療法、放射性ヨードの内服、手術療法があり、患者様の状態やライフスタイル、ライフステージなどに合わせて適切な治療をご提案しています。

抗甲状腺薬内服

外来で可能な治療法であり、妊娠・授乳も問題ありません。また。治療内容のきめ細かい調整もできます。甲状腺が小さければ、年齢などに関わらず可能です。
ただし、治療期間が長くなりやすく、治療を止めると再発することがあります。起こる可能性がある副作用には、白血球減少、肝機能障害、薬疹などがあります。

放射性ヨードの内服

甲状腺に限って作用する放射性ヨードを内服する治療法で、再発しにくいというメリットがあります。妊娠・授乳中の治療はできません。放射性ヨードを内服する治療自体は簡単に終了しますが、治療後は甲状腺機能が低下するため、甲状腺ホルモンを補う治療を続ける必要があります。また、まれに目の症状が悪化するケースがあります。この治療法が適応するのは、19歳以上で半年以内に妊娠する予定がない方です。薬物療法で再発を繰り返す場合にも検討されます。

手術療法

早く、そして確実に治すことができる治療法で、再発もほとんどありません。ただし入院が必要となり、傷跡をできるだけ目立たなくすることはできますが、どうしてもある程度は残ります。また手術ですから、合併症を起こす可能性もあります。甲状腺が大きい、甲状腺腫瘍の合併がある、薬物療法で副作用が出る、長期に渡る定期的な通院が難しいなどの場合はおすすめできます。

甲状腺の状態や症状だけでなく、患者様のライフスタイル、妊娠を考えているなどライフステージも治療法選択には重要なファクターです。当院ではそれぞれのメリットやデメリット、リスクをわかりやすくご説明しています。些細なことでもお気軽にご質問ください。十分ご理解の上で患者様に治療法を選択いただいています。
日本では一般的に、薬物療法がまず行われ、副作用や再発などをきっかけに放射性ヨードや手術を検討されることが多くなっています。当院では薬物療法を行っており、放射線ヨード治療や手術をご希望になる場合には、連携している高度医療機関をご紹介しています。

橋本病(慢性甲状腺炎)

甲状腺機能低下症の場合、原因疾患として最も多いのが橋本病です。女性は男性の20倍以上発症しやすいとされています。若年から中年の女性を調べた場合、自己抗体陽性率が10%以上にもなると報告されたことがあります。

原因

甲状腺だけを標的に破壊する抗体によって甲状腺組織の破壊が進み、長い時間をかけて甲状腺ホルモンの分泌量が減って、やがて甲状腺機能低下症の症状を起こします。
遺伝的な素因に加え、強いストレス、妊娠・出産、ヨードの過剰摂取(海藻類、薬剤、造影剤など)といったさまざまな環境要因をきっかけに症状を起こすと考えられています。

症状

甲状腺に慢性の炎症を起こしているため、特徴的な症状として甲状腺の腫れが起こり、肥大が徐々に進むことが多いとされています。この腫れは、表面がデコボコしているように感じられることがあります。慢性の甲状腺炎が長期間続くことで徐々に甲状腺の機能が低下して、ホルモン分泌が不足した低下症の症状が現れるケースが多くなっています。なお、甲状腺が壊れて蓄えられていた甲状腺ホルモンが漏れ出てしまう一過性の甲状腺中毒症を起こすことがあり、その際には一定期間のみ甲状腺機能亢進症の症状を起こします。

診断

特徴的な症状、血液検査や超音波検査などで診断できます。血液検査では、甲状腺ホルモンの低下、抗TPO抗体・抗Tg抗体について調べます。超音波検査では肥大の有無や表面の状態を確かめ、腫瘍の有無も確認します。

治療

橋本病は症状がない段階で発見されることも多く、腫れが小さくて甲状腺ホルモン値が正常範囲であれば治療の必要はなく、定期的な検査だけで十分です。甲状腺機能低下症による症状がある場合には、甲状腺ホルモンを補充する薬物療法を行います。

無痛性甲状腺炎

甲状腺の細胞が壊れて、甲状腺に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出てしまい、一過性の甲状腺中毒症を起こしている状態です。亜急性甲状腺炎と似ていますが、無痛性甲状腺炎では痛みを起こすことがありません。橋本病を合併しているケースが多く、分娩後の発症も少なくありません。

原因

自己免疫が関与して発症すると考えられています。
甲状腺の組織を見てみると、慢性甲状腺炎で橋本病が合併していることが多く、また分娩後に発症することが多いことから自己免疫の関与が考えられています。アミオダロン、インターフェロン、エタネルセプトなどの薬剤を投与した後に発症することがあります。

症状

動悸、体重減少、のぼせやほてりなど、甲状腺ホルモン分泌が過剰な際に生じる症状が起こることがあります。痛みはなく、不定愁訴のような症状が多いため、産後に発症した際には産後うつなどと誤解されてしまうケースが珍しくありません。分娩後発症することが少なくないため、つらい症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

診断

特徴的な症状、血液検査や超音波検査などで診断します。

治療

自然に治りますが、再発を繰り返すケースもあります。つらい症状がある場合は、適切な治療で解消できますので、お気軽にいらしてください。

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎炎症によって甲状腺の細胞が破壊されて、甲状腺に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れてしまい、一過性の甲状腺中毒症を起こしている状態です。甲状腺が固く腫れて、痛みをともないます。右葉と左葉どちらかの痛みが反対に移動することがあります。自然に治ることが多いですが、まれに再発することがあります。

原因

ウイルスによる炎症が起こっていると考えられていますが、原因ウイルスはまだ発見されていません。現在は、ムンプス、コクサッキ―、インフルエンザ、エコーウイルスなどが原因ウイルスの可能性を指摘されています。

症状

動悸、体重減少、のぼせやほてりなど、甲状腺ホルモン分泌が過剰な際に生じる症状が起こることがあり、甲状腺の固い腫れ、痛み、発熱などを起こします。甲状腺機能亢進症状は1~2ヶ月でほとんどの場合、改善に向かいます。その後、甲状腺機能低下症期があって、数ヶ月後に甲状腺機能が正常に戻ります。

診断

特徴的な症状、血液検査や超音波検査などで診断します。血液検査では、甲状腺ホルモン・炎症マーカーなども調べます。また、超音波検査では肥大や腫瘍の有無などを確認します。

治療

自然によくなることも多いですが、痛みが強い場合には抗炎症薬などを処方します。また、痛みに発熱や倦怠感をともなう場合には、ステロイドを用いることもあります。

甲状腺腫瘍

良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられ、良性には腺腫、腺腫様甲状腺腫、腺腫様結節、のう胞などがあり、悪性には乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫などがあります。

原因

甲状腺がんの一部は遺伝子異常によって発生し、若年での放射線大量被ばくが危険因子になることはわかっていますが、ほとんどは原因不明です。

症状

甲状腺機能が正常な場合が多く、特に症状がないケースがほとんどを占めます。まれに大きくなって気管や食道を圧迫して、飲み込みにくい、違和感などの症状を起こすことがあります。

検査

超音波検査で腫瘍の大きさや形状を確認します。良性・悪性の判断には、超音波ガイド下での甲状腺穿刺吸引細胞診が必要です。また、周辺臓器への影響を確認するために、CTやMRIによる検査を行うこともあります。当院では、超音波検査を行っており、超音波ガイド下での甲状腺穿刺吸引細胞診、CT、MRIが必要と判断された場合には連携している高度医療機関をご紹介しています。

治療

良性腫瘍で症状がなく、あまり大きくない場合には3か月~1年に1回という頻度で定期的な検査を行う経過観察で十分です。経過観察中に変化がなければ特に治療の必要はありません。悪性の場合には手術が必要になるため、連携の高度医療機関をご紹介しています。

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